2018年10月4日木曜日

エジプト教育改革のブレーキと潜在的可能性

女子中高等学校のモーニングライン(朝礼)
エジプトの学校教育は、学力偏重との批判を受けていますが、教科教育に対する考え方も同様です。アラビア語、数学、理科、社会、コンピュータ、宗教、外国語等は教科として実施されていますが、体育、音楽、芸術、農業(日本で言う家庭科)等は、教科には含まれず、アンシェタ(その他の活動)として、学校裁量で実施しています。当然、学校規模により教員定数が限られていますから、そのアンシェタの授業は、実際は教員がいないため開講していない、つまり授業がない、という学校も多くあります。

新学年から、日本式学校の開校、特活の導入、全人教育を掲げた「新教育方針2.0」が実施されることになりましたが、その理念の具体化やカリキュラムへの反映、授業改善はまだこれからです。果たしてどこまで改革が進むのか注目しています。

しかし、日本であれば、新指導要領改訂までに、中教審を始めとした文科省関連会議、公聴会、各種中間機関会議、教育課程委員会、伝達講習会等が実施され、一定程度情報公開と微調整がなされるのですが、エジプト「新教育方針2.0」の概要は、教育大臣の記者会見での口頭説明や、自身のFBの投稿・解説記事で要点や概略を見かけたのみで、まだ正式なパブリックアナウンスはなく、また、そもそも正式通知文書がありません!

従って、現場の教員はおろか、教育委員会の職員ですら、教育改革の中身を知らないという事態が起こっています。(もう新年度が始まっているというのに!!)
とりわけ、新教育方針に基づき、全国全ての公立学校で「ミニ特活」と名付けられた学級会(日本で言うLHR)がカリキュラムに位置づけられることになりましたが、通知・通達や伝達講習会等は極めて不十分で、新学期早々、新1年生のカリキュラムを巡って、現場では戸惑いと混乱が見受けられます。(新教育方針は学年進行で実施のため、今年は小学校1年生のみの改革)

これでは、失礼ながら、教育省は本気で教育改革を実現しようと思っているのか疑問に感じるところも多いのですが、一方で、色々混乱や不満はあるものの、現場の教員は至って真面目で、おおらかで楽天的です。しかも、出たとこ勝負や土壇場の無茶ぶりパフォーマンス能力は、天賦の資質と言って良いほど驚くべき才能で、画一社会で飼い慣らされた日本人には到底真似ができません (^^)。

エジプトの未来のために勉強するよう訴えるイダーラ副所長
組織的で有機的な指導方針と学校運営方針が、現場の意欲ある教員ともっと高いレベルで上手く結びつけば、エジプトの教育改革に向けたポテンシャルはもっともっと高く発揮されるのになあ、とつくづく残念に思います。

「遊びを通した学び」ロールプレイ
旧課程では幼稚園からアラビア語や英語や算数が必修授業として教えられていましたが、新課程、日本式教育では、遊びそのものを通して知・徳・体を習得することを目指します。

新しい先生たちは、意外と即興でオリジナリティー溢れる指導案を発表してくれました。



「遊びを通しての学び」の実践例として、日本人ボランティアで縄跳び遊びの模範演技をしました。数の数え方もそうですが、ルールの理解、順番を守ること、相手を思いやること、協調性、協働の意味について、遊びの中から学びます。

我が強く、協調性の乏しいと言われているエジプト人には大変受け、自分にもやらせろ、と言ってすぐに混ざってきて楽しんでいました。その良いところが上手く生かされると良いですね。 いくら注意しても横入りする教員がいましたけど・・・(^^)/

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