2017年9月30日土曜日

生活に根づく、ザカート



まだまだ日中は35度前後の気温で暑いのですが、街中の路地には必ずと言って良いほど物売りのお婆さんが座っています。大した物を売っているわけではないのです。
大体、ポケット・ティッシュか、タバコです。
あまり買う人は見かけません。それでも、朝から日が沈むまで、じっとしたまま、ずーっと座っています。
何か定位置があるみたいです。

さすがに暑いのでしょう。ペットボトルの水を時々飲んでいるようです。

目に入るとちょっと気になってしまうので、なるべく目を合わせないように、いつもは素通りしています。
ところが、たまたま前を歩いていた人が、いきなりしゃがみ込み、ティッシュを受け取らずに、1ポンドコインを渡してそのまま通り過ぎました。

ああ、これが、喜捨(ザカート)なんだなあ、と、何もなかったように淡々と先を急ぐその人の後ろ姿を見て、妙に感動してしまいました。

2017年9月23日土曜日

ナイルの船上結婚式




ナイル川流域は、農業や生活にとって欠かせない場ですが、人気の観光スポットでもあります。
カイロ河畔には大小様々なレストランやカフェ、豪華ホテルやナイトクラブ、スパ、トレーニングジムなどが立ち並びます。

また、アスワンの方に行くと、ナイルクルーズ豪華客船7泊8日の旅などというのがあるのですが、カイロ河畔にはちょっと小ぶりですが観光船やディナークルーズ船が幾つか用意されています。ベリーダンスやタンヌーラ等のショータイムとセットのコースもあります。

川面では、ファルーカ(帆船)やカヌー、ウインドサーフィンを楽しむ人もいます。釣りをしている人も沢山見かけます。住民にとっても、楽しみとくつろぎの場になっているようです。

先日、夜帰宅途中、大きな音楽が川辺から流れてきたので、よく見ると、船上結婚式の最中でした。ディナークルーズ船を貸し切っての結婚式やパーティーが結構人気なのだそうです。

なかなかのどかで楽しげな風景でした。

2017年9月20日水曜日

エジプト日本学校、開校延期

新設・エジプト日本学校 完成予想図
日本式教育の導入を図る上で、建築面からも抜本的な改革が提案されています。
と言っても、日本では当たり前ですが、エジプトには無かったもの、職員室の設置、放射的学年クラス配置、体育館・グランドの設置等です。

考えてみれば、日常の教育活動・意思疎通には職員室が欠かせないし、担任制度・学年組織は生徒の掌握や集団教育において重要な役割を担っています。生徒や職員の動線を、いかに教育効果を高めるために建築面で工夫するか、という話を、直接、建築設計に携わった日本人建築家からお聞きする機会があり、建築の着想や意匠の面白さというものを初めて実感することができました。不勉強のため、失礼ながら、建築は、耐久性とか効率性とかデザイン性をメインに考えているのだろう、と思っていたからです。

さて、プロジェクト実施元年、当初、45校の新設校の建設、55校の旧校舎改築・改編によって、計100校開設の予定でしたが、予定が大分ずれ込んでいます。9月新学期からの開校予定までに校舎完成の見込みは無くなり、10月以降開校の予定だそうです。しかも、その10月に間に合いそうなのも、今現在、3校程度しかないとのことです。だったらいっそのこと、開校は来年9月からにすれば良いのにと思うのですが・・・。

生徒募集は既に始まっており、校長や教職員も最近になってやっと決まった(それも遅くない?)そうですが、そもそも学校の校舎が無い、という事態にどう対応するのでしょう?生徒は自宅待機なんでしょうか、その間、教職員の給料は支払われるんでしょうか。日本だったら大事件になりそうですが、エジプトでは、やや遅れているが当初予定通り進行中、というアナウンスのみで、成り行きを見守っているところです。
こういうときにインシャアッラーと言えば良いのかな?

2017年9月18日月曜日

新学期はいつから?

正面:エジプト教育省本館  右側:別館資料センター、図書館、各部署執務室
新学期(日本だと新年度入学式・始業式)はいつから始まるのかについては、この間ずっと未定のままでした。例年9月中旬なので、多分9月17日からだろう、と教育局からは説明を受けていましたが、もう既に9月中旬です。何の連絡もありません!

各中間教育機関も各学校も、自主決定権はなく、年間の基本計画・行事予定は、教育省本省が決めることであり、その決定を待って下部組織が動き始めるというスタイルです。各基礎単位が前年度末までに年間行事予定で期日を決めているわけではないのです。この国の社会体制全体に共通しています。

どこからも文句が出ないのでしょうか。恐らく、あってもそれを正当なルートで反映させるシステムが整っていないのだと思われます。これでは、親や子どもたちはもちろん、先生方も落ち着かないのではないでしょうか。或いはインシャアッラー(最後は神の思し召しのままに)の精神で、平静を保っているのでしょうか。一昨日、やっと、教育局から、新学期は9月17日ではなく、9月24日からに決まったようだ(正式発表はまだ無い)、との連絡がありました。遅い !!  (^o^)

この8月9月、教育職員全体の人事異動や、大学入学マッチング作業や小・中・高の入学手続き等で、各教育行政組織は忙しかったようですが、それが落ち着いて、行事予定がやっと決まった、というところです。 確かに順序として間違ってはいないと思いますが、こんなやり方では当事者だけではなく周囲の人も予定が立てられないでしょう・・・
結果論ですが、こんなことなら休暇とか旅行の計画ももっと別のことが出来たのに、と愚痴りたくなります。個人的な我が儘で申し訳ないですが。

大枠の予定を決めて、そこから逆算して細かい行事予定を決めていくのが合理的、というのはやはり日本人的感覚なんでしょうか。

ともあれ、後期の授業が終わってから、実に5ヶ月ぶりの新年度の授業が、全国一斉に、来週から始まります。

2017年9月17日日曜日

夏休み語学学校

8月1ヶ月間、ロングバケーションという誘惑も少なからず、いえ、かなりあったのですが、根が真面目(^o^)というか、立場を考えると申し訳なく、アラビア語エジプト方言の現地語学学校に通うことにしました。日常会話や基本的な文法は何とかマスターしていたとしても、独特のエジプト方言が飛び交うカイロ街中では、仕事レベルでは全く通用せず、欲求不満が募っていました。

職場では、英語が苦手だけれども、おおらかでユーモアたっぷりのカウンターパートと、時々助っ人で現れる真面目で心優しい英語指導主事に、大分救われていましたが、アラビア語がよく分からず、英語もなかなか通じず、お互い分かったような分からないような暗黙の了解で仕事を進めるという、綱渡り的な仕事の仕方に、冷や汗のかき通しでした。

やはり現地で踏み込んだ仕事をするには、どうしてもアラビア語での意思疎通が欠かせません。
何とか時間が自由に使える今のうちにと思い、幾つかある語学学校の中から、現地人の経営する、授業料の割安な学校を見つけ、通うことにしました。

授業スタイルは、欧米系の語学学校にありがちな、ダイレクトメソッドなので、なかなかハードですが、身振り手振りを交え、一生懸命教えてくれます。宿題もどっさり出るので、次の授業までに間に合わなかったり、消化しきれず、かなり苦戦しています。

それにしても、アラビア語に関しては、間違いなく学生時代以上に勉強しています。まさか、アラビア語の不勉強を40年後にエジプトで取り返すことになるなどとは、我ながら想像だにしなかったことです。

このような人生の巡り合わせと、何かを集中して学ぶ機会を与えていただいたことに、まずは感謝しなければならないのでしょうね。

2017年9月14日木曜日

長~い夏休み

 

エジプトの学校の夏休みは、4月の下旬から始まる学年末テスト(約3週間)を終えれば、9月の中旬まで、4ヶ月以上にもわたります。

子どもたちにとっては一見嬉しいのかもしれませんが、小さい子を持つ親は大変だろうなと思います。学校の先生方も、夏休みが長いので、新学期が始まると、生徒は覚えたことを全部忘れてしまい、ゼロからまたやり直すのだ、と嘆いています。

8月に入り、高3の試験最終処理と大学入学のマッチング作業で配属先が忙しくなり、私も、長い夏休みを取ることにしました。

「夏休み」ということばは、今となると郷愁と甘酸っぱい思い出がひっそり甦るのですが、エジプトにいると、強烈な太陽と眩しい光を全身で受け止める、生の饗宴、生のエネルギーのぶつかり合いを感じます。

地中海や紅海のリゾート地に足を伸ばすと、日常の世界とは無縁の豪奢な空間を満喫できるのですが、だからこそその瞬間、こんなことしていて良いのだろうかと、貧困と殺戮、不平等な世界に甘んじ蠢く人たちへの申し訳なさが頭をもたげ、 一瞬落ちつか無さを感じたりします。

贅沢を楽しむというのにも、心の準備と、自分への言い聞かせが必要な、不条理な世界です。

目映い光に打たれていると、異邦人のムルソーが殺人を犯すまでの設定が作品として必要だったのだろうか、とか、ニーチェならどのような反時代的考察をするだろうか、などと、どうでも良いことが頭をよぎり、雑念を払い、光に身を委ねるまでに年相応?の時間がかかります。

とか何とか言いつつ、オールインクルーシブのリゾートホテルで時間を気にせず何もしないで過ごす日々を与えられていることに感謝です。