2017年3月1日水曜日

ぼったくり精神と庶民のマナーの共存

赤のピラミッド遠景
エジプトの観光地では、必ずと言ってよいほど「ぼったくり」の商売人や「にわかガイド」に出会います。昔、ピラミッド前で、私の近くにいた日本人が、「乗るのはタダ」と言われて乗って、降りるときに日本円で5000円要求された人がいました。ラクダって結構背が高いので、飛び降りるのはちょっと危険です。確かに降りるときのことは言ってませんが、きちんと値段交渉してからでないとトラブルになります。必死で日本語で勧誘され、断り続けてると、「100ポンド(約700円)でいい」とか、「乗るだけなら10ポンドでいい」(さっきの10分の1だろー、嘘くさい)とか、かなりしつこいです。

ラムセス像
正直、観光地で近寄ってくるエジプト人は、安心できません。お土産もその調子。先日、仕事仲間とラムセス博物館に行ったとき、入場待ちの間、パピルスの栞を3枚セット100円で売って回るおじさんがいました。100円(15ポンド位)ならと言って買う日本人観光客も結構いました。後で、市内のホテルで同じものが3枚セット5シート、5ポンド(40円位)、つまり、約10分の1で売ってました。やっぱりな、と思いました。そのホテルが適性価格なのか、たまたま特売だったのかはわかりませんが、どうもエジプトのお土産相場がまだわかりません。 結局、支払った価格がその時の相場ということになるのでしょう。

 ポンドの貨幣価値も低いし、物価も日本の5分の1(加工食品や電気製品は比較的高い)位ですから、日本の感覚で考えると、「何だ安いじゃん」とか、「結構高いけど、(こんな機会もうないから)まあいっか」ということになります。エジプト人からすると、「シメシメ」ということになり、日本人に対して、味を占めてさらにふっかけてくる、という悪循環が後を絶たないのだと思います。

 近くのカフェテリア式レストランに入ったとき、小学生低学年と中学年位の子どもが3人ほどトイレをうろついていたのですが、用を足した後、そのうちの一人の子から、ティッシュを一枚顔に突きつけられました。ここはレストラン付属トイレなのでチップは不要ですので、「おっ、来たなっ」と思いました。「ラッ、シュクラン(No, thank you.)」と言って出たところ、今度は、「マネー、マネー」と叫んで後をしばらく追いかけてきました。なんか哀しかったですね。ボロボロの汚れた服を着た、まだ小さい子が・・・。
 
 喜捨だと思って 1ポンド硬貨でもあげておけば良い、と昔エジプト人観光ガイドに言われたのを思い出しましたが、実際どうなんでしょうか?相変わらず心が晴れません。おもてなしに対価を払うというのは当然のことなのですが、こんな歓迎を受けては、喜捨しようとか、チップをはずみたいという感情が少しも湧いてこないのです。かと言って、今を生きるのに精一杯で生存競争の中でしたたかに生きる子どもたちに対し、安全な対岸から道徳心を説諭することの空しさや難しさも十分理解しているつもりではあります。

 エジプトの国家収入は、騒乱やテロによってかなり落ち込んでいるとはいうものの、変わらず観光が全収入の3分の1でトップです(2番がスエズ運河の交易権、3番が天然ガス、その次が、エジプト綿や農産物だそうです)。目の前の観光資源に感謝と誇りを持って、さらに、観光産業が、お互いが気持ちの良いもてなしと感謝の気持ちによって支えられ発展する、という方向へ、エジプトの観光省庁は大きく舵を切る必要があるのではないかと思います。


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